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≪ ボルゲーゼ美術館展 2009年 ≫

京都国立近代美術館 (京都市 岡崎公園)
2009/10/31 〜 12/27
GALLERIA BORGHESE

G.L.BERNINI に会いたくて







ローマのボルゲーゼ美術館には何度も訪れている。
35年程前、初めてのイタリア訪問の時からである。

この ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ との出会いが
その後のヨーロッパ探訪の大きな動機付けになっていた。

ボルゲーゼ美術館=ベルニーニの 『 プロセルピナの略奪 』
『 アポロとダフネ 』 なのであるが、、、
今回の美術展には、、来ていない。
『 枢機卿 シピオーネ・ボルゲーゼの肖像 』 だけである。

日本での ○X美術館展と言うのは、 貸し出しても、
本館での展示には支障の無い作品 つまり
普通の観客は気が付かないレベルの作品しかやって来ない。
今回も、、その類であり、、、と、
最初は美術展には行く予定は立てなかったのだが、、

ダイエットの為の山歩き10km、どのコースを通っても飽き飽き、
気分転換に、、久しぶりに京都を歩き回ろう、、と言う事になり
コースの途中に、ボルゲーゼ美術館展を入れた次第。


館内は撮影禁止なので、、画像は全て手持ちの資料を利用。

『 枢機卿 シピオーネ・ボルゲーゼの肖像 』


1632年頃

ローマのボルゲーゼ美術館では、、外に見るべきものが多いので
この作品には、、あまり時間をかけていなかったのだが、、

今回は、、この作品しかなかったので、、ジックリと鑑賞 !

気楽な気持ちだったのだが、、見れば見るほどに引き込まれてしまう。
枢機卿の姿には、、、興味は無いのだが、、
『 プロセルピナの略奪 』 や 『 アポロとダフネ 』 以上に
対象の生の人間性を愛情を持って見い出し
再現された造形の奥深さや存在感、、
凹凸の生々しさ、年齢の風格を表す表現の繊細さ、

ベルニーニのその技量や才能がどうのこうの、、と言うレベルではなく
その存在の凄さに、、この大理石の側から離れなくなてしまった。











絵画の表現力以上に、、冷たい大理石でもって
長い人生の結果である人格を表現している。


自分で写真が撮れれば、、
何処が凄いのか
何故に凄いのか、、、

記録に残したいのであるが
残念でならない。

手持ちの資料の中からイロイロ探したが
私に感動を与えたモノを撮り切った画像は無かった。


顔の部分の凄さだけではない、、
着衣の襟からボタン賭けまで、、
凄い凄いのである。




美術館の抜粋だからこそ
目玉作品が少なかったからこそ
ここまで、、この作品に集中できたのである。
目玉作品の少ない美術展も良いものだ、、
と、新たな教訓を得た。





↓↓ 『 アポロとダフネ 』 の顔の部分の表現なのだが  ↓↓

『 枢機卿 シピオーネ・ボルゲーゼの肖像 』 の人間の存在感の生々しさを見た後では

こちらの方が、、手抜き?? と思ってしまう。
神話の登場人物と、、人生の重みを背負った肖像、、
その存在の違いを、、重く思い知らされた。




G.L.ベルニーニ 探訪記へ



ラファエロ・サンティの
『 一角獣を抱く貴婦人 』


67cm X 56cm  1506年頃 ( ラファエロ 23歳 )

この作品は、今世紀初めまでは、『 聖カタリナ 』 とされていたそうである。
ボルゲーゼ美術館の収蔵された時は、アレキサンドリアの 『 聖カタリナ 』 だったのである。
というのも、、、16世紀に下部が補筆され、今の姿とは違っていたのである。

今世紀初めに撮影された写真

肩にはショールを羽織り
一角獣は見えずに、車輪が描かれている。
( 車輪は、聖カタリナの持物 )

X線撮影の結果、現在の姿に修復された。
一角獣というのは純潔の象徴であるらしい。

X線撮影の結果、、一角獣の前は、犬だったとか、、
やや複雑な経歴のようである。



いずれにしろ、、
魅力的なラファエロの聖母子とは大いに趣を異にし、
見る者に優しさを感じさせる視線ではない。








カラヴァッジョ 『洗礼者聖ヨハネ 』 159cm X 124cm



カラヴァッジョの名作は、、ボルゲーゼ美術館は多く所蔵している。

明るいボルゲーゼ美術館で一挙にカラヴァッジョを見た時

闇の中に主題が浮かび上がる彼独特の表現が、、
絵画の歴史的には、、強烈な彼の個性なのだが、、
彼以後の絵画を、当たり前のように数多く見ている私には

今までに無い強烈な彼の作風は、、私には珍しく写らない。
教科書的に、カラヴァッジョは歴史を変えた、と刺激されなかった。


一番最近に訪れた時は、、暗闇の部分に深みが感じられなかった。

アムステルダムのゴッホ美術館で衝撃を受けた、、ゴッホの絵の具の塗られたカンバスの重厚さ
何の魅力も無い汚い靴を描いただけのカンバスが、、
描かれたものの存在価値は無いのに、、その絵・カンバスの重厚さ
その絵の写真を見ると、、、平面的な写真では、、何の魅力も無い。
ラファエロのマドンナは、写真で見てもそれなりの魅力・価値はある。

ゴッホの絵は、、現物の前でこそ、、重厚さがある。
絵の存在感とは、、そんなものだと思っているのだが

その存在感が、、カラヴァッジオの暗闇に感じなかったのだ。
同じ期間に、ローマ、サン・ルイジ・ディ・フランチェージ聖堂で
聖マタイの3部作を見た時も、、同じ感想を持った。


今日の美術館展の上の階で、京都国立近代美術館の収蔵品展があり
そこで見た、、ピカソ ↓↓
これも、、ゴッホの実物のカンバスの重厚さ と同じ圧倒的な存在感を感じた。
これに比べると、、カラヴァッジョの闇は軽い、、と感じてしまう。





ダ・ヴィンチの 『 レダと白鳥 』 模写


明るく魅力的な絵なのだが

何故か、
腰の線に全く同じに沿う羽が
全く同じ曲線なのが、、
反って不自然さを感じてしまう。



ダ・ヴィンチの造形を気に入らない
というのは、、此方が至らない
というだけの事なのだが、
これは仕方が無いのである。
『 レダと白鳥 』 とは、、ジュピターが、白鳥に変身して、スパルタ王の妻に子供を生ますという神話である。
その子供の一人が、、トロイのヘレンの絶世の美女ヘレネである。


c.f.   ボルゲーゼには関係ないが、、参考に他のレダを、、

↓ パリのグスタフ・モロー美術館で見た レダと白鳥 ↓
遠景が無く、、白鳥の仕草もエロチックである。



c.f.
↓ ブーシェ の レダと白鳥 ↓ 1742年
Private Collection



『 レダと白鳥 』  魅力のある作品が多いのである。



一転して、、、地味に、、

↓ ヴェロネーゼ 『 魚に説教する聖アントニウス 』 ↓
112cm X 157cm 1580年頃



小鳥に説教する有名な聖フランチェスコ に対して 聖アントニウスは魚が相手だそうである。


これを見て、、どうこうと感じることは無い、、、、








ヤコボ・ズッキ 『 新大陸アメリカの発見 』
55cm X 45cm  1585年


珊瑚採り、、弓矢を持つ黒人が新大陸の象徴

遠近感が強調され、、新大陸への広大さを感じさせる。


この絵を見て直ぐに思い浮かべたのが、、フィレンツェのヴェッキオ宮の 『 真珠採り 』 である。

同時期の同じ発想の絵である。


ストゥディオーロ全覧へ


『 真珠採り 』
アレッサンドロ・アッローリ ( 1535-1607)  117cm X 104cm




↓ ブレシアニーノ 『 ヴィーナス 』 ↓
168cm X 67cm  1520-25


この絵は、、ローマのボルゲーゼ美術館でさえ目に付く絵であった。
よく知らない画家なのだが、、、


よくあるポーズなので、、独創性があるとは言えないのであるが、、、

パリ近郊のシャンテーイで見たアングルの絵
ブダペストで見た Lotz Karolyの絵
腰のひねり、、右足の角度、、、同じ、、、
ブダペストの Lotz Karoly の絵は、、見た瞬間に好きになった。


ボルゲーゼ美術館展、、、外にもイロイロあったが、、
記憶に留めたかったのは、、以上である。







ボルゲーゼ美術館展と所蔵品展を見た後

1階のSHOPで過去の美術展の図版目録を見ていて
1990年のプラハ国立美術館所蔵の 『 ブリューゲルとフランドル風景画展 』 の中に

私の知らない 『 バベルの塔 』 を見つけた。


↓ フランドル派 57cm X 71.5cm ↓





今回のバベルの塔

↑ 実によく似ている →
既に画像を収集していたバベルの塔

バベルの塔全覧へ





バベルの塔の画像を収集していたので、、これを逃す事は出来ないので
図版集を購入して、、早速に 追加したのだが、、

プラハ国立美術館で、、この絵を見た記憶が蘇らないのである。






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