≪大キレット(北穂高岳から槍ヶ岳) ≫ 登山報告
(2) 大キレット

写真豊富な、のぶなが山行記
感動の共有、のぶながTOPページへ
■ コース=上高地 → 徳沢(泊) → 涸沢 → 北穂高岳(泊) → 大キレット → 南岳 →
              → 中岳、大喰岳 → 槍ヶ岳(泊) → 千丈沢乗越 → 飛騨沢 →
              → 新穂高温泉

2005年 7月19日〜22日  天候=快晴              今回山行分

■ 所要時間=1日目、上高地 夕4:07 → 徳沢ロッジ5:55             計=1時間48分
          2日目、徳沢ロッジ6:37 → 横尾7:40-7:50 → 本谷橋9:00-9:10 →
              → 涸沢小屋11:59-12:30 → 北穂高小屋6:05     計=10時間37分
          3日目、北穂高小屋6:10 → A沢のコル8:32 → 獅子鼻下鉄梯子10:45 →
              → 南岳小屋12:05-12:27 → 槍岳山荘5:22、槍ヶ岳往復1時間  計=11時間38分
          4日目、槍岳山荘6:00 → 千丈沢乗越7:06 → 飛騨沢千丈分岐7:54 → 新穂高温泉2:15
                                                             計=7時間47分
                                                       4日分合計 31時間52分

≪標高差 登り1680m、下り2080m≫ 悪沢岳=2041mである。
主な標高≪北穂高岳3106m≫ ≪槍ヶ岳3180m≫ ≪新穂高温泉1100m≫



****************************************

(2) 大キレット通過 2005年7月21日

いよいよ今回山行の目的、大キレット通過である。
北穂小屋では、1ブースに1人なので熟睡。 5時過ぎには起床。

北穂高小屋6:10 → 信州側鎖7:48 → 飛騨泣き →
→ A沢のコル8:32 → 長谷川ピーク9:08 - 9:20 →
 → 獅子鼻下鉄梯子10:45 → 南岳小屋12:05

A沢のコル まで 2時間22分
長谷川ピ−ク まで 36分
獅子鼻梯子下まで 1時間25分
南岳小屋まで 1時間20分
総計 = 5時間43分

下りなのに、昨日の登りと同じく、スローぺース。
危険な箇所だ、急ぐ必要もない。







≪ 長谷川ピーク (2841m) からの眺望 ≫

獅子鼻が見えるが、槍ヶ岳は隠れて見えない。


** 予想外! 期待以上! の超快感展望だ **


 大キレットが危険だと聞いていても、、
 遠くから眺めていると、平凡なモノ。
 
 「 行かねばならない 」 という衝動に駆られはしない。
 しかし、それなりの人達が、「行って来ました」 と話題に
 するのに、黙って聞いているのは居心地が良くない。

 好奇心に駆られてではなく、行っていないのが
 シャクニサワルという不純な動機で
 「 行かねばならない 」 と宿題になっていた。

 ところが、、長谷川ピークでの展望の快感さに、、
 来て良かったではなく、来るべきだ〜! と大感激。



98-10-04
常念岳と蝶槍の中間地点から撮った画像
( 東から )

98-09-14 大ノマ岳辺りから撮った画像 ( 西から )


大キレットは、事前の知識がなければ、平凡な光景に過ぎないが、、、







イザッ出発、、今日は<槍ヶ岳>まで



小屋裏から真直ぐに急降下
鎖、梯子があるが、Wストック使用で問題なく下れる。


↑ 真直ぐ降りきると、左(飛騨方向)に向きを変える。 ↑



↓↓ 飛騨泣き部分の一部が気を使う鎖場 ↓↓

長谷川ピークへの登りにも鎖があるが、、高度感があるだけで問題なし

中間部の大キレットはありふれた稜線歩き

獅子鼻への登りが、急な鉄梯子が連なり、やや気が抜けない。




↓ 下ると見えなくなる槍ヶ岳を望遠で、、 ↓



中岳への登り、下り、大喰岳への登り、下り、、と
結構、アップダウンがキツイ








小屋からの下りは、ルンルンとはいかなかった。
難しくはないが、落差が大きいので
慎重に足を置かねばならない。
予想外に時間を取られてしまった。




↓ 真直ぐに下りきると、飛騨側へ向きを変える。 ↓










飛騨側に入ると、、日陰になり、強風に吹き上げられる。

ここでストックは収納する。
両手、両足、ザックの当たりと、全てに集中する。
心を引き締めて掛かる。



↓ 長谷川ピークとA沢のコル ↓



A沢のコルに人が、、


赤○部分の拡大が↓



↑ 大きな鎖に鉄板の足場が打ち込まれてある。 ↑

この先が ≪ 飛騨泣き ≫ 





 ← B沢は深く落ち込んでいる。
 これを見ながら、大きな鎖を何本か下って行く。

 泣く程ではないが、、
 飛騨側から強風が吹き上げてくる。
 この強風の音を飛騨泣きというのか??

 鎖につかまりながら足の置き場を探す、、
 カメラを構えるどころではない、、、
 いつもながら、危険なところの画像は無い!!

 日陰+強風+狭い、、と気持ちの良い場所ではない。
飛騨泣きの鎖の一部




↑ 最後は真直ぐA沢コルに向かって急降下 ↑

A沢のコルで休んでいた人だろう、、
8:06 今日最初にすれ違った人だ。

今日大キレットで出会ったのは、
単独行3人、2人連れ4組のみ。
皆、南岳から来た人達。

南岳に向かったのは、
私より早く出たテント泊の男性と私だけ。







↑ A沢のコルから少し長谷川ピークに登った所から、 ↑
今まで下ったコースを振り返る

単純ではなかったので、コースを覚えている訳ではないが、、ペンキ印を追っていくと、赤線の如くなる。
点線の部分は想像だ。 (飛騨泣き部分)

小屋からの急降下部分は見えない。

結局、平坦に歩けた部分は極僅かであった。




A沢のコルでは、全く疲れていなかったので、休憩もせずに、そのまま長谷川ピークへ登る。




↓ 長谷川ピーク と A沢のコル ↓


信州側の緑と、飛騨側の岩肌の対比が極端だ。
強風、残雪、崩壊、、原因は様々に想像される。


↓ A沢のコルから大キレット、獅子鼻への登りを見る。 ↓






↑ 長谷川ピークのピーク部分 ↓
2人居る











 最初の一組は、若い男性
 ベテランと初心者。

 二組目は、年配の夫婦
 女性が手間取っていた。




「 この先どうだった? 」 
男性達に聞くと、、
「長谷川ピーク、が高度感があり、難所。 後は問題なし」 との事。

私よりは年上に見えた年配者夫婦は、
厳しい表情に見えたので、、挨拶がヤット。
返事があったかどうか、、、

余程、緊張していたのだろうか?

↓ 飛騨側の、A沢の切れ込み ↓






↑ 爽快な気分 ↑


私にとっては、全く問題のない登りであった。
南岳から来る場合と、北穂から飛騨泣きを経て来る場合と
危険イメージは相違するようだ。






A沢のコルから30分強で、長谷川ピークのピーク岩
笠ヶ岳が気持ちよく見える。

ここで、南岳からの1組の若い男性グループと会話。


ここで、フルーツ缶詰で休憩

暫くは誰も登ってこない。

360度の視界を満喫、、快晴なのだ。



↑ (東) 横尾本谷と遠くに常念岳、、左右に大天井岳と蝶ヶ岳 ↑


↓ (南) 下ってきた北穂高 ↓ (魚眼レンズ使用、逆光)





↓ (西) 笠ヶ岳、抜戸岳、弓折岳 ↓

いつ見ても端正な山並みだ。
↓ UpDown少なく、穂高の連山を見ながら快適に歩ける縦走路だ。 ↓




↓ (北) 天上の大展望 ↓




この尖った先端に、 独り 座っていると、、

頭の中、、心の中が、、真っ白になる。
周囲、360度の澄んだ大展望を見ていても、、頭も心も動かない、、

全ての記憶、知識や感情を 放電・放出しているようだ。
人間の肉体的存在以外全てを初期化している。
何も考えない、何も感じない、、、全て洗い流されている。
でも、、 放心ではない、、意識は研ぎ澄まされているから。


そして、、立ち上がり、歩き出すと
放出したものが戻ってくる。
再び、記憶や感情が、書き込まれてくる。
自分に戻ってくる。

1度 真っ白になった自分に、過去に蓄積された自分が書き込まれてくる。
どんどんと、自分に戻ってくる。
全てが整理されて戻ってくるようである。

高い山に登る度に、、、世俗の事柄が良く見えてくる。
雑然たる過去の自分が、整理され明確に再生されるようだ。

よく見えれば、迷いも少なく、判断も機敏になる。

高い山、、山頂の大岩、、大展望、、、登山は人を成長させてくれる。


山は高い方が良い。
山頂は、尖っている方が良い。
大岩で一段と高くなっている方が良い。
そして、、、人は少ない方が良い。





長谷川ピークに登ってくる単独行

獅子鼻下の鉄梯子までは
問題のある箇所はない。


核心は長谷川ピークの展望にみ。



やや若い女性単独行

これ以降は、中岳を越えるまで
登山者には会わなかった。


お花や昆虫達
足下の世界に触れながら歩く。





↓ 来た道を振り返る ↓
手前が長谷川ピークだが、、
こちらから見るとやや平凡、、鋭さはない。



そして、最後の難関、、獅子鼻への登りだが、、、

正面の垂直と思える断崖を眺めながら、、
一体何処を登るのだろうか? と心配になる。


→ →
赤い実線が記憶にあるルート
点線部分は想像 ( 思い出せない )
最初に鉄梯子が2つ続く。








鉄梯子2つ



気が抜けない足場が続く






↑ 登りの途中からふり返る ↑
横尾本谷と屏風の頭、、穂高
( パノラマ合成画像で、左上と右下は加色 )


↓ 丸太で整備しても崩れぱなっしの道 ↓



↓ ヤットの事で南岳小屋 ↓



南岳小屋で独りラーメンを食し

今日の後半、、槍ヶ岳へ向かう、、、
長い先がまだある、、





↑ 南岳の登りから、穂高の山々と南岳小屋 ↑
右手遠方は、西穂、間の、天狗

雲が出だした、、、、、、、、




(1)、北穂高への登り 山行記へ

(3)、南岳、槍ヶ岳、千丈乗越、新穂高 山行記へ

(4)、槍・穂高で咲き誇る お花達 写真集へ



■ ≪私の山登り観≫ ■
高い山に登れば地球が見えてくる
  何億年の地球の営みが見えてくる、そこに居る小さな人間が見えてくる。
ホンの一瞬に生きる小さな人間、さあ!どう生きようか?
 単独登山はスポーツではない、人生哲学的行動である。



   のぶながTOPへ  掲示板に参加して、感動の共有と増幅を!     ≪我が登山歴へ≫
   前画面へはブラウザの<戻る>で戻って下さい。